川棚町

川棚海軍工廠石木疎開トンネル工場跡






川棚川の支流石木川の山側の道を走るとすぐにトンネル工場
入り口を見つけることができます。



中は綺麗に片付いています。
手前のトンネル入口から「1」と番号がふられていました。



こちらが「2」



中は水没してます。



「3」は入られないように木々で塞がれてるようです。



「4」

平均して高さ3.2m、幅4m、奥行47mあるそうです。

「4」の場所には教育委員会の立看板がありましたので
ここに記しておきます。


川棚海軍工廠・石木近工場跡

昭和十九年(一九四四年)太平洋戦争は激しさを
増し、川棚海軍工廠の施設も爆撃目標にさらされ
たので、重要施設は石木郷一帯に急遽疎開退避した。

 ここ風南山麓には当時二〇本以上のトンネルが
約二〇m間隔で掘られ、工場として稼働した。

 トンネル工場の規模は平均で高さ三m、幅四m
、最奥部は横坑で連結され、各坑道の片側に工作
機械が並び二四時間三交代制で航空魚雷が生産された。

 戦局の悪化に伴なう人手不足のため、中学生や
女学生までもが作業要員として動員され、作業に
従事した。

平成一八年(二〇〇六年)
川棚町教育委員会
 


約20m間隔で20本以上の入り口があったそうですが
他にもありそうな場所は竹林に埋もれたり、採石場によって
無くなっていたり、しかし他にも10本ほどは確認されてるようです。



よく見るとわかるやつや



土砂が流れ込んだトンネル入口。



いちだん高い場所は保存状態も良いようです。



トンネルを掘るのに川棚町民が奉仕したのは無論の
事ですが、石木小学校の5・6年生も土の運び出しや
落盤防止用の丸太を山から運んだりしたそうです。



見たところ、この入口が東端になるようです。

川棚海軍工廠や石木疎開工場では学生が大勢働いて
いたそうです。昭和19年1月、14歳から25歳までの未婚の
女子による女子挺身隊が発足され、同年6月には中学生以上
の動員が、年末には中学生の動員がなされたそうです。

終戦時石木の疎開工場で働いていた学生は1000名程。
殆どが女子学徒だったそうです。

今手元にある資料だけでも佐賀中学校、
佐世保商業学校、宮崎商業学校、島原中学校、
川棚国民学校高等科、佐賀工業学校、島原商業女子高、
壱岐高女、佐賀師範女子部。

鹿児島県から川棚に来ていた高等女学校は
加治木、出水、川内、伊作、加世田、国分、
知覧、枕崎、指宿、頴娃。
男子校は三州商業高校(現樟南高校)1校だけ
10校で約1000人。
(昭和20年3月28日に10校合同で卒業式が行われたそうです。)

【鹿児島だけの10校で1000人とありますがその人数全部が
石木の疎開工場で働いていたとは今の所断定出来ません。
百津の工廠でも作業にあたっていますし、川棚町郷土資料館
資料だけではわかりませんでした。】


旧制中学は4年生が高校の1年生にあたり修業年数は5年です。
高等女学校の3年生は今の中学校の3年生にあたります。
14歳位の女の子が24時間3交代で
91式航空魚雷
過酷な環境の中、親元を離れて作っていたとは・・・


主食は、こうりゃんめし(モロコシ飯)、大豆めし、大豆粕飯、
うどん、かんころいも、みそまんじゅうなど。
副食は、うどん・そうめん汁、胡瓜や唐瓜のみそ汁。

空襲で死んだ馬を食べた事もあるそうですが、食糧不足の折喜んで
食べたと言う話と、毛がついてて気持ち悪かったとの話が残っています。

昭和20年の正月3日間はご馳走が出たそうです。


川棚海軍工廠石木疎開工場では昭和19年から終戦の20年まで
約1年間稼働していました。これだけの大規模な工事、人員を裂いて
一体どれくらいの生産量があったか・・・・実は月産30本が
限界であろうと推測されています。
何故なら傘型の歯車を作る工作機械が1台しか無く
この機械で出来る歯車が24時間で4個、1基の魚雷に
この歯車が4個いったそうです。

出来上がった魚雷は片島の魚雷発射試験場に運ばれて
試験が行われ合格した物が百津の工場に運ばれ分解整備
された後、平船に乗せられて、海路、佐世保に運ばれたようです。
合格品がどの位あったのかは不明のようですが
恐らくかなり少なかったと推察されます。


その後川棚海軍工廠への空爆もあり工場は一部、猪乗へ
移され終戦まで稼働していたようです。
(猪乗はこの辺りですが工場の場所が分かりません)

長崎の原爆の投下時、きのこ雲が見えたそうです。



参考

川棚町郷土資料館内展示パネル、資料室内戦中戦後資料


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魚雷発射試験場跡

魚雷発射試験楼

特攻殉国の碑

川棚町郷土資料館


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